冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
隣の部屋の住人は縞森の狙い通り、近々引っ越すらしい。

(菜美恵もある程度知っていないと、夫の行動が奇妙に感じて一緒には暮らせないだろう。だが、その程度では任意での取り調べが精一杯。逮捕はできない)

寝ようとしている葵をうまく意識の外に出していられたのは、そこまでだった。

急に背中に体温を感じて驚いた。

ヘッドホンを外して肩越しに振り向くと、膝を抱えた葵が背中合わせで座っている。

「どうした?」

「邪魔してごめん」

「構わない。解析に回さないと聞き取れないと諦めていたところだ」

体ごと振り返ろうとすると、慌てたように止められる。

「待って。このままで話したいの。ええと、その、顔を見てしまうと言いにくくて」

「わかった。どんな話だ? 悩み事か?」

葵を困らせる要因はすべて排除してあげたい。そう思い、背中合わせのままで真剣に聞く体勢を取る。

「私のことじゃないんだけど――」

長年、片想いしている友人がいて、今の関係のままでいるのはつらいが、フラれるとわかっているので告白できずに困っているという話をされた。

葵の話ではないというので、肩透かしを食らった気分になる。

「私の友達、どうしたらいいと思う?」

「俺に聞かれてもな」

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