冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
床に崩れ落ちないよう片手を後ろに伸ばして支えながら、そっと振り返って腕に抱いた。

丸みのあるフェイスラインに柔らかそうな頬。長めのまつげに半開きの唇。

規則正しい息遣いでぐっすりと寝ているその顔は、あどけなくも見える。

それでも体つきは大人の女性そのもので、男心を刺激されて唇を奪いたい衝動にかられた。

(こらえろ)

葵の気持ちを確かめるまでは手を出さない。

職務中に寝込みを襲うなど、もってのほかだ。

自分を戒めたあとは横抱きに抱え上げてベッドまで運ぶ。

起こさないよう気をつけてベッドに下ろし、慎重に腕を抜こうとすると――。

葵が切なげに眉根を寄せて、寝言を言う。

「……き」

(なんと言った?)

「大和さんが……好き……」

その瞬間、心臓が大きく波打った。

驚きで身動きひとつできないのは初めての経験だ。

(どういう意味の〝好き〟だ?)

家族や友人に対してもその言葉は使われる。

ますます膨れ上がる期待に耐え、魅力的な寝顔を見ながら動揺を深めた。



* * *



翌日は強い寒気が流れ込むという予報通りの気温で、吐く息がほのかに白い。

十六時にイベントスタッフのアルバイトを終えた葵は、その足で沢の自宅へ向かった。

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