冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「葵じゃなく、警視正の彼に言ったの」

「大和さんがヘタレ?」

「腕枕はするけど手は出さないって、男としてどうなの?」

「意気地がない」と呆れたように付け足され、ムッとした。

自分のことなら甘んじて受け止めるが、大和への批判は許せない。

「大和さんは毎日正義のために闘っているの。意気地なしじゃない。恋人じゃない相手に手を出す人の方が意思が弱いでしょ。私になにもしなかったのは、強くて優しい人だからだよ」

強い口調で反論したあとに、ボソッと付け足す。

「それと、私に色気が足りないから……」

一緒に寝てもなにもされなかった事実に、少しだけ傷ついている。

なにかあってほしかったわけではないが、女性としての魅力不足を痛感していた。

(自信もないし勇気もない。いや、自信がないから勇気が出ないのかも)

あの夜以降はこれまで通り、葵はベッド、大和は寝袋を使って休んでいる。

ベッドで寝てほしいとはもう言い出せない。

鼓動を高まらせた腕枕と、なにもされなかった朝の落ち込みを思い出すからだ。

しかし一度、大和の温もりを知ってしまうとひとり寝が寂しくて、昨夜は捜査中なのに邪魔してしまった。

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