冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「着るだけなのにどうして無理なの? 愛してると口で言うより簡単だよ」

「それは、そうだけど」

「捜査目的の同棲なら、もうすぐ終わるんじゃないの? なんの進展もなく終わって、後悔しない?」

同棲を開始した日にこのチャンスにかけようと意気込んだのを思い出した。

沢の言う通り、捜査が終了すれば大和は自分の家に帰ってしまう。

それはもしかすると明日かもしれないし、今夜かもしれない。

いつまでも勇気を出せずにいたら、後悔するのは目に見えていた。

椅子を立って恐る恐るドレスに近づき、そっと触れてみた。
「私、着こなせる……?」

「大丈夫。きっと似合うよ。ブラパットの分厚いのも貸してあげる」

「お気遣いありがとう……」

やせ型の体形なのは同じでも、出るところはしっかり出ている沢とは違う。

自信のなさを無理やり心の隅に寄せ、ドレスをハンガーから外した。

(勇気を出さないと。やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい)



沢の家を出たのは一時間ほど前だ。

リュックの中にはスーパーマーケットで買ったシーフードカレーの材料が入っている。

ロングコートなので中に着ているドレスは見えないのに、買い物している時は落ち着かなかった。

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