冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
そして今、緊張しながら自宅の玄関ドアに鍵を差し込んだところだ。

大和が帰宅しているかどうか、微妙な時間である。

(心の準備をしたいから、まだ帰っていませんように)

沢の魔術にかかったかのように巧みに誘導されてドレスを着てしまったが、すでに勇気がしぼみ始めている。

料理をしながら大和を待つ間に、やっぱり自分には無理だと着替えそうな予感がした。

(ヘタレは私だ)

鍵を開けてそっとドアを開けると、中は明るい。

ということは大和は帰宅しているということだ。

(どうしよう!)

焦ってドアを閉めてしまったが、数秒してすぐに内側から押し開けられた。

大和はまだ仕事用のスーツ姿なので、ついさっき帰ってきたところなのかもしれない。

怪訝そうな顔をされ、「なにやってんだ?」と問われる。

「えーと、その、鍵。鍵穴から抜くの忘れてたから……」

「危ないな。気づいたからよかったが、二度と忘れないでくれ」

「う、うん」

嘘はバレなかったが、これでもう逃げられなくなった。

「おかえり」

「ただいま」

ぎこちない笑みを返して靴を脱ぎ、部屋に上がる。

鼓動は早鐘を打ち鳴らし、なんとかして気づかれずに着替える方法はないかと考えていた。

(こんな格好、やっぱり見せられないよ)

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