冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「寂しいなら、そう言えばいい。夜に時間を見つけて電話する」

「寂しくない」

「何年の付き合いだと思っているんだ。意地を張っている時の態度はわかる。言ったろ、自然体でいてくれと」

「子供みたいなワガママ言えないよ」

「葵のワガママなら喜んで受け止める。可愛いと思うだけだから気を遣うな」

優しく細められた目に見つめられ、心臓が波打つ。

顔に熱が集中するのを感じて目を逸らした。

「大和さん、そういうのは……」

「なに?」

「そういうこと言うと余計に自然体でいられないよ。ドキドキして困るの」

頬を膨らませて訴えたのは子供っぽかっただろうか。

クスッと笑われてしまったが、話題を変えてくれた。

「葵の今日の予定は?」

「アルバイトは入れてない。ライターの仕事で新しいターゲットを追ってる」

沢から買った今度のネタは、農林水産省の元官僚の汚職だ。

定年退職後に大手食品会社に天下りし、専務理事に就任している。

官僚時代の部下と今でも交流があるそうで、便宜をはからせていそうな気配が漂っていた。

「危ないことはしないでくれよ」

そう言われるとわかっていたが、胸がチクッと痛む。

(仕事を辞めてほしいと思ってるんでしょ?)

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