冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
以前はムキになって反論していたが、今は迷っている。

汚職事件をスクープするのが自分の正義だが、心配をかけたくない気持ちが膨らんで葛藤していた。

愛されているのがわかるから、いらない心配だと突っぱねることができなくなった。

「十分に気をつけて取材する」

大和にじっと見つめられた。

「ありがとう」

お礼を言うということは、葵の葛藤が読めたのかもしれない。

先に食事を終えた大和は食器をキッチンに運ぶと、時刻を気にした。

「悪いがあとのことは頼む。早めに登庁しないといけないんだ」

「うん。いってらっしゃい」

手早く身支度をすませた彼を玄関で見送る。

「夜に電話する」

「忙しいのに、いいよ」

ワガママを許してくれても、寂しがって甘えられる性格ではない。

「本心か?」

黒い革靴を履いた彼が振り向いたので、一瞬迷ってから答える。

「強がりだよ」

少しだけ素直さを見せると、フッと笑った彼に抱きしめられた。

たくましい腕の中は、安心できるのに心乱される。

たちまち動悸も始まった。

耳元に響くのは、色気のある低い声だ。

「あと少しで決着がつく。待っていてくれ」

(それは、私のすべてをもらうという日が近いということ?)

恥ずかしくて顔を合わせられない。

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