冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
こっちは内心大慌てで鼓動が爆音を響かせているというのに、彼だけは余裕がありそうな顔でフッと笑った。

「いない。食事に誘っているのは葵だけだ」

「うそっ、どうして!?」

「興味がない。時間の無駄だろ」

「えっ……三十六歳の健全な男性の台詞じゃないよ」

呆れ顔をして見せたが、内心では万歳三唱だ。

(よかったー!)

男女交際に興味がないなら、彼は一生誰のものにもならない。

失恋しないですむと思うと視界が明るくなるような気がした。

テーブルの下で拳を握りしめていると、じっと探るように見られ、真顔で聞き返される。

「お前はどうなんだ?」

「私?」

「どうせ俺と同じだろ」

「どうせってなによ。私は――」

「仕事ばかりで、男に興味がないんだろ?」

決めつけられたのは不満だが、違うと言えずに頷いた。

(あなたが好きですって、言えるか!)

忙しく心を乱していると、料理が運ばれてきた。

昆布締めの鯛にウニソースがかかったものと大きな生牡蠣が前菜で、アワビの柔らか煮に魚介と野菜の天ぷら、旬のサンマと松茸の焼きもの、豪華な握り寿司と続く。

「最高! 美味しすぎる」

普段は質素な食生活なので、ひと月ぶりのご馳走に舌が大喜びしている。

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