冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「女性の歳は口に出して言わないものよ。でもありがとう。これからもよろしくお願いしますね」

ふたりは蕎麦に天ぷらと刺身がついたお膳を楽しんでいた。

食べ終える頃に、やや腰の曲がった高齢の女性店員が笑顔で近づいてきて、小さなサイズのホールケーキを夫妻に出した。

近所のケーキ屋に注文した店からの誕生日プレゼントだと話していて、夫婦と親しげな様子だ。

「お礼なんていいですよ。パッとしない蕎麦屋ですのに、毎年記念日にはうちに食べに来てくださって嬉しいです」

「生きている限り通います。私たちが初めてデートしたお店ですもの。ねぇ、あなた」

「そうだな。このお店がなくなるのは寂しいので、おかみさん、ずっと元気で商いを続けてください」

三人は昔の蕎麦屋での思い出話に花を咲かせていた。

葵が注文した月見蕎麦はまだ運ばれてこない。

忘れられていそうだが、少しも腹が立たないのは三人の話を聞きながら自分と大和について考えていたからだ。

(私たちの場合は、いつものお寿司屋さんが思い出の店になるのかな)

月に一度、あの店で大和に会えるのが待ち遠しかった。

顔を見れば嬉しくて舞い上がりそうなのに、過保護に心配されるたびに子供扱いしないでと反抗した。

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