冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
可愛くない自分の態度に落ち込み、彼への恋心を募らせたあの店は、年を取ってからもずっと通いたいと思う。

安岐村夫妻がこの蕎麦屋で誕生日を祝う気持ちがわかる気がした。

(ほんの少し会話を聞いただけだけど、素敵な夫婦の物語を垣間見た気分。こういうのって心が温かくなっていいかも)

馴染みの店での食事を通して、その人の人生を知る。そんな記事を書くのもいいと思っていた時、店員が離れると夫婦の話題が変わった。

「そうだ。三十一日にゴルフの予定が入ったんだ」

「大晦日なのに? 大掃除は家族みんなでするものでしょう。子供たちだって帰省してるのよ」

「掃除は前日にすればいい。元の職場の部下と社のやつらを引き合わせねばならん。これも仕事だ」

「もう。仕事って言えばなんでも許されると思って。どこのゴルフ場なの? 何時から何時まで?」

ぼんやりとした気持ちが吹き飛んでハッとした。

夫婦関係は素敵かもしれないが、そのゴルフに汚職の匂いがプンプンする。

いい話が聞けたとほくそえみ、注文の品がまだ来ないことをやっと店員に伝えた。



それから一時間ほどして、成果を得た葵は帰宅した。

玄関ドアを開けると、暗い廊下が伸びて肌寒い。

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