冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
一生懸命に子育てしている母親という印象が強く、悪人には見えなかった。

夫が逮捕された彼女は、これから子供とふたりで生きていくのだろうか。

頼れる実家はあるのか、仕事は見つかるだろうかと心配した。



大和の家に引っ越してから半月ほどが過ぎた。

明日は大晦日だが、リビングに小さな鏡餅を飾ったくらいで日常はなにも変わらない。

ただ大和の忙しさは落ち着いて、今日は十八時に退勤したそうだ。

葵はアルバイトをしていたので彼より一時間ほど遅く帰宅し、先ほどふたりで寄せ鍋を楽しんだところである。

準備は大和がしてくれたので、片づけは葵が引き受け、その間に彼は浴室へ行った。

食洗器に入らない土鍋を手洗いしていると、大和がバスタオルで髪を拭きながら戻ってきた。

彼の入浴時間はいつも十分ほどと短い。

斜め後ろの冷蔵庫からペットボトルの水を取り出している彼に顔を向けた。

暑いのか上半身は裸で、引き締まった筋肉美を惜しげもなくさらしている。

湯上りの彼は色っぽく、そう感じる自分を恥ずかしく思った。

こっそりと鼓動を高まらせていると、ふいに彼が振り向いた。

「なんだ?」

「あっ、なんでもない」

「代わるか?」

「ううん、私が洗う」

(見惚れていたなんて言えないよ)

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