冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
するとタブレットから顔を上げた彼が、視線に気づいたかのようにこちらを向いた。

「どうした?」

「な、なんでもない」

「代わるか?」

「今、終わったところ」

先ほどと似たやり取りを繰り返す。

追及されては困るので、急いでエプロンを脱ぐとリビングのドアへ向かった。

「私もお風呂に入ってくるね」

(変に思われるから、これについて考えるのをやめないと)

ちょうどいい広さの浴室は、壁の一面が黒い大理石風の模様になっていてお洒落だ。

足を伸ばして入れる湯船が嬉しい。

湯に浸かってリラックスし、気持ちを切り替えようと思ったが、自分の小ぶりな胸や柔らかさの足りない痩せた手足を見ていると、どうしても心がそのことに戻されてしまう。

(最近、帰りが早いし、もしかしてとっくに事件が解決していたりして)

『この事件を完全に解決させたら、葵のすべてをもらう』

そう言ったのを忘れているのではないかと疑った。

(それとも覚えているけど、手を出す気になれないとか?)

貧弱な体では欲情できないのだろうと、勝手な推測で落ち込みそうになる。

二日前、沢の自宅までセクシードレスを返しに行ったのだが、その時に言われたことを思い出した。

『悩む必要ある? 抱いてって言えばいいだけでしょ』

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