冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
心を読まれては困るので、湯呑のお茶を飲んでごまかそうとした。

「今日のお茶、結構熱めだね」

葵は酒を飲まない。

愛車で移動することが多く、美味しいとも思わないからだ。

それに合わせてくれるかのように大和もいつも酒を注文しないが、緊急呼び出しに対応できるようにするためだと以前、言っていた。

同じ緑茶を口にした彼に「そうか?」と首をかしげられたので、急いで話題を変える。

「今度、引っ越そうと思って」

今は警視庁の庁舎から徒歩十五分ほどのマンションでひとり暮らしをしている。

父と祖母と三人で暮らしていた時のまま住み続けているのだが、家賃が葵の稼ぎに見合わない。

殉職警察官の遺族には国からまとまった金額が支払われるので、子供の頃の生活や学費は困らなかった。

しかし祖母が病を患い、治療費や介護費用にあてたためかなり減り、今も足りない分の生活費をそこから出しているので底をつく日は近い。

家族の思い出が詰まった住まいと別れるのはつらいが、引っ越さなければならない時期に来ていた。

(私の収入が増えれば問題ないけど、なかなか難しい)

なるべく軽い口調で、これから物件を探すところだと話した。

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