冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
沢成美(さわなるみ)。彼女は専門学校時代に仲良くしていた友人で同じ歳だ。

卒業後は彼女もフリーライターをしていたが、儲からないと早々に見切りをつけ、今はライター相手の情報屋をしている。

子供の頃から自宅にこもってパソコンで遊んでいたため、インターネットを駆使しての情報収集が得意らしい。

葵が追っている多野元の汚職疑惑は沢から買った情報で、調査を初めて二か月半も経つのに決定的な場面に遭遇できずにいる。

十日ほど前の大和との食事会で『贈収賄の事実があるなら、二課がとっくに動いてる』と言われたのもあって、政治資金の収支報告書などを調べ直してみたところ、怪しいと思っていたことが勘違いだったとわかった。

完全に白とは言えないが、贈収賄の噂の信憑性が薄れたので、沢に苦情を言いに来たのである。

ふたりの前には同じ銘柄のペットボトル飲料が置かれている。

葵が手土産に持参したもので、葵はカフェオレ、沢はブラックコーヒーだ。

それを飲みながら沢が口元だけで笑った。

いや、目も笑っているのかもしれないが、前髪が長すぎて見えないのだ。

体形はほっそりとして、透き通りそうなほど色が白く、大和ではないが三食食べているのか心配になる。

「〝梅〟だよって、売る時に言ったよね」

< 29 / 218 >

この作品をシェア

pagetop