冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「スクープネタってわけじゃないから、五千円でいいよ」

「えっ、ホテル名だけなのにお金取るの?」

「当然」

しぶしぶ財布から五千円を出して支払い、教えてもらったホテルを携帯で検索する。

(あっ、このホテルの方角って……)

二か月ほど前の土曜日、タクシーでどこかへ行く多野元を追ったが、途中で急にUターンされて横道に入り、巻かれてしまったことがあった。

尾行に気づかれる前まで走っていた幹線道路をまっすぐ行けば、このホテルの近くに出る。

夢中で調べていると、頬杖をついた沢に前髪の奥からじっと見られる。

「私から情報を買って調べて記事にしても、大した収入にならないよね。生活、大丈夫?」

「なんとか……」

最初にスクープを発信できれば結構な収入になるが、今のところ同業者に先を越されてばかりで後追い記事しか出せずにいる。

収入より経費が上回る時も珍しくなく、本業と言っていいのかわからない状況だ。

正義感から始めた職業だが金銭的に余裕がないのは苦しく、正直に言うと半分は意地で続けている。

いつまでも子供扱いをやめてくれない大和が、今でもこの職業に反対しているからだ。

この道で成功し、大人になったと彼に言われたかった。

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