冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「前の職場に戻れば? 人員不足だから再雇用してもいいと連絡来たんでしょ?」

葵は専門学校を卒業したあと、一度就職している。

大手出版社の雑誌編集部に記者として雇われたのだが、入社三か月で辞職した。

芸能人を尾行して不倫の記事を書くよう言われたからだ。

「誰かを不幸にする記事は書けないよ。そんなことするくらいなら貧しいままでいい」

強がりを言うと、沢が口角を上げた。

「葵の真っすぐなとこ、好きだよ。気持ちいい。でも、お金はあった方がいい」

「それはそうだけど」

「例の警視正を頼れば?」

「へっ?」

突然、大和の話になって変な声が出た。

「過保護すぎて困るほど愛されているんでしょ? 養ってもらえばいいじゃない」

「合ってるのは前半だけ。妹のようにしか見てくれないから。完全に私の片思いで――あっ」

七年ほどの付き合いの沢には大和との関係を話しているが、恥ずかしいので恋心は打ち明けていなかった。

それをうっかり暴露して慌てたが、なにを今さらと言いたげな顔をされる。

「とっくに知ってるよ」

「なんで!?」

「彼の話をする時の葵はいつもと違う。わざと迷惑そうにしたり適当な言い方をしたり、わかりやすいくらいに顔にも出てる。よく相手にバレないね」

< 32 / 218 >

この作品をシェア

pagetop