冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
この話題をさっさと終わらせようとしたのだが、沢に指先を向けられた。

「その服、初めて見る。葵っぽくないね」

着ているのはフェミニンなワンピースだ。

買ったはいいが、恥ずかしくて大和との食事会で着られずにいた服である。

そこそこいい値段だったのに、このままではタンスの肥やしになると思い、今日初めてこれを着て外出した。

「変?」

「可愛い。似合ってるし、新鮮。で、その服、本当は誰に見せたくて買ったの?」

ニッと口角を上げた沢に、わかりやすく肩をビクつかせてしまった。

大和に女性として意識されたくて買ったが、いまだ見せられずにいる事情まで見透かされていそうな気がした。

目を逸らして答えない葵を沢がクスッと笑う。

「彼に見せたくて買ったわけじゃないか。とっくに諦めてると言ってたもんね」

「う、うん」

「それなら私に紹介して。警視正の彼、すごく美味しそう」

驚いてカフェオレのボトルを倒しそうになる。

「沢ちゃん、恋愛に興味あったの!?」

専門学校時代から、沢は容姿に無頓着だ。

メイクをした姿を見たことはないし、服も靴も帽子もバッグも全部、無地の黒。

切るのが面倒だからと前髪で目が隠れている状態なのは、以前からである。

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