冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
(ど、どうしよう。嫌じゃないけど、嫌がった方がいい? それとも、なにも言わない方がいい?)

葵が鼓動を高まらせていることに彼は少しも気づかないようで、耳元に落ち着いた低い声がする。

「雨樋は右横一メートル半の場所だ」

「そ、それだけ距離があればきっと大丈夫。窓を割ろうとしても手が届かないよ」

動揺を隠して反論すると、嘆息された。

「まったくお前は。楽観的すぎる。だから心配なんだ」

窓の内側に引き戻されたあと、すぐに彼の手が離された。

その手で前髪をかき上げる彼にまた鼓動が跳ねる。

やれやれと言いたげな顔をされても、その仕草はどこか色っぽい。

彼の方には少しもその気がないというのに、ひとりだけ意識しているのが恥ずかしく、熱い頬を隠すようにそっぽを向いた。

「私が楽観的すぎるなら、大和さんは心配性すぎ。仕事を抜けて駆けつけるほどじゃないのに」

「午後は半休を取った」

「私のために休んだの!?」

申し訳なさと呆れが半々という気持ちで眉根を寄せたが、彼は平然としている。

有休は使いきれないほど残っていて、部下に指示を出してきたからこのあとの仕事に問題はないそうだ。緊急事態が起きなければの話だが。

「とりあえず、優先すべきはこの部屋のセキュリティを上げることだ」
< 40 / 218 >

この作品をシェア

pagetop