冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
最初からそのような関係だったわけではなく、むしろ以前は気に入られていた。

しかし昨年、食事に誘われて店に着くと、なぜか見知らぬ女性が同席していた。

敷島の二十九歳の娘だ。

見合いを仕組まれたと気づいたが、上官相手に途中退席はできない。

初対面なのになぜか好意の視線を向けられて、会食の二時間が苦痛だった。

後日、呼び出されて娘の印象を問われた時に、結婚願望はないとはっきり伝えた。

以降は娘の話をされていないが、あたりが少々きつくなったように感じている。

(会議でしか顔を合せないから支障はないが)

警視庁の庁舎に戻った大和は、対策室に向けて廊下を進む。

すると捜査第一課のフロアから出てきた刑事と視線が合った。

「加賀見、ちょうどよかった。少し話せる?」

休憩所のドアを親指で差した彼は井坂(いさか)という。

出身高校と大学、入庁した日も一緒で、年齢も階級も同じ警視正。友人関係にあるが、腐れ縁という言葉の方がしっくりきた。

井坂は一課の課長を務めている。

赤茶色の癖毛と色素の薄い瞳は、フランス人の祖母譲りだと以前、聞いた。

子供の頃はさぞかし可愛かっただろうと想像できるような整った顔で、気さくな性格をしており、女好き。

< 51 / 218 >

この作品をシェア

pagetop