冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「それは俺でも止めるわ。で、お前の勘は当たってたのか?」

「ああ」

調査の結果、その留学生の背後に某国の諜報機関があるのを確認できた。

しかし訓練された諜報員ではなく、一時的に雇われたという程度の人物だった。

今すぐ多野元から盗りたい情報があるわけではないようだ。

ひと言でいえば長期戦略で、美女と体の関係を持たせることで弱みを握り、いずれ多野元が某国の損得に関わるような仕事をした時に揺すりの材料に使うつもりだろう。

それでも国益を損なうような芽は、小さいうちに摘んでおく。それが公安の仕事だ。

「部下に行かせるの?」

今回の留学生のような雇われスパイには、公安の身分を明かして接触する手法を取る。

それだけで大抵の相手は、監視を恐れて手を引くからだ。

日本には諜報活動防止法のようなものがないのでスパイ罪で逮捕できない。

「いや、俺がいく。ネーム持ちの名乗りはなるべく避けたい」

ネーム持ちとはコードネームを持った公安警察官のことで、警視庁内でも実名は伏せ、マスクやサングラスで顔を隠している。

滅多に登庁せず、一般人に紛れて過激派やテロの捜査をするのだ。

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