冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
これでもセーブしているつもりなのだが、葵にすると月に一度の頻度で会うのも多いのだろうか。

どうしているのかと気になって毎週連絡していたが、それも控えた方がいいのかもしれない。

本当の兄ではないのだから。

頭ではわかっているが、葵が完全に自分の手を離れてしまうと思うと胸が痛んだ。

膝の上で組んだ手を黙って見ていると、井坂がクッと笑う。

「二十六歳だっけ? 普通は恋を楽しむ年頃だ。他の男に取られても後悔するなよ」

(他の男?)

見知らぬ男と仲良さそうにしている葵を想像した途端に、強い焦りを感じた。

引っ越しの日に誘ってくれる男がいると言われた時も、同じだった。

嘘だとわかって心底ホッとしたが、現実になる日は近いのかもしれない。

(そうだよな。葵はもう、大人なんだ)

友人にはっぱをかけられ、その事実がようやく心にしみ込む。

すると焦りに加え、怒りも込み上げた。

(他の男が葵に触れるのは絶対に許せない)

「五分経ったから、仕事に戻るわ」

人の気持ちをかき乱しておきながら、井坂はヒラヒラとお気楽な調子で片手を振り、先に出て行った。

大和も対策室に戻らなければならないが、その前に心を落ち着けなくてはならない。

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