冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
はっきりとは言えないが、葵が二十歳の時に彼女の祖母が亡くなり、それからは女性のひとり暮らしの家を訪ねるのに気が引けて、寿司屋など外で会うようにした。

手を出したくなる心から、無意識に葵を守ろうとしていたのかもしれない。

(その頃から、俺は葵を――)

気づいてしまった恋心に愕然として、思わず片手で顔を覆った。

殉職したかつての上司への申し訳なさの他にも問題がある。

今後は妹扱いできそうになく、どうやって守っていけばいいのかわからなくなった。

(葵の方から頼ってくれるといいが、現状は迷惑がられているからな)

これからは嫌われるのを恐れ、連絡がしにくくなりそうだ。

葵から電話をかけてくることは滅多にないので、そうなると距離が開いて、いつか本当に他の男に奪われそうな気がした。

それを阻止したいなら恋人関係になるしかないが、想いを告げればそんな目で見ていたのかと軽蔑されるだろう。

(まいったな……)

溜息をつきながら立ち上がり、ドアを開けた。

対策室へと急ぎながらも、葵の顔が頭から離れない。

葵との今後の関係をどうするかは、テロ事件の解決より難しそうだった。



* * *



翌日の十八時。

葵は愛車を走らせ、片道三車線の道路を東へ進んでいる。

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