冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
今日も多野元を乗せたタクシーを追っていた。

(大和さんに止められたけど、ここまで来てやめられない)

具体的になにが危険なのかも言われていないし、友人の沢にはきっとなにか掴めるからもう少し追ってみるようアドバイスされた。

葵にすると多額ともいえる経費をかけているのに、成果なくしてやめられない心境だった。

黒塗りのタクシーとの間に他の車を三台挟んで追っている。

尾行に気づかれないと思っていたが、ウィンカーを出さずに右折車線に移ったタクシーが急にUターンした。

突然のことに対応できず葵は直進し、次の信号でUターンしたが、反対車線をしばらく走ってもタクシーを見つけられなかった。

コンビニの駐車場で愛車を止め、すっかり暗くなった空に向けてため息をつく。

(まかれちゃった)

気づかれたのか、それとも最初から尾行を警戒してあらかじめ急な進路変更を運転手に指示していたのかもしれない。

どちらにしても、目的地について来られたら困ると思っているようだ。

(ここで諦めるのは悔しいな。今日は絶対なにかある予感がするのに。ハズレかもしれないけど行ってみるか)

頭に浮かんだのは、この前、沢から教えてもらったホテルだ。

多野元が所属する会派がよく利用していると聞いた。

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