冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「一応、聞いたまでだ。依頼者の情報も掴んでいる。現時点で君を逮捕する法律はない。しかし、適当な理由を付ければ国外退去に追い込める。今回は忠告までだが、今後の行動は見張られているものと思え」

大和が帰っていいと言うと、コートとバッグを抱えた美女が多野元を押しのけるようにして廊下に飛び出した。

よほど焦っているのか、隠れている葵には少しも気づかず、エレベーターの方へと走り去る。

押された多野元はつんのめるように廊下に出て、その背後でドアが閉まった。

「ハニートラップだったのか……?」

信じられないように呟いた多野元が、説明を求めるかのように怖々と大和を見る。

「彼女は多野元先生をはめるよう、指示されていました。諜報員の協力者、つまり雇われスパイです。失礼ですが、これまで彼女と体の関係は?」

「ないです。ホテルで会ったのは初めてですので。しかし、なぜ私を……」

美女との不倫をネタに脅されても某国に利益を与えるような立場ではないと、多野元が動揺しながら言った。

「今後、先生を利用できる日が来たら使う気でいたのでしょう。先生だけでなく、彼らは幅広く要人に接触しています。今後はお気をつけください」

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