冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「そうだったんですか。危うく引っかかるところでした。助けてくださってありがとうございます。ところで、あなたは公安警察ですか?」

(えっ、公安!?)

葵は驚いて大和の背を見た。

四年前に『古巣に戻った』と言われていたので、てっきり刑事部に所属していると思っていたからだ。

しかしスパイの調査と言えば公安だ。

(私に、嘘をついてたの?)

警視庁だけをさして『古巣』と言ったのかもしれないが、刑事だと思って話している時に、勘違いを否定されたことはなかった。

所属先を偽られてショックを受けたけれど、話せないのもわかる。

(公安の警察官は、身分を明かさないと聞いたことがある)

多野元の問いかけにも、大和は答えなかった。

「私はこれで失礼しますが、先生はどうされますか?」

「そうですね、部屋で少し休んで気持ちを落ち着かせてから帰ります。今日のことは、その……」

「事件ではありませんので調書は作成しません。公にもしません」

それを聞いてホッとした様子の多野元は、大和に会釈するとそそくさと部屋に入った。

(そっか。公安だったんだ……)

壺の陰に隠れながら、葵は静かに傷ついていた。

一般人の自分には教えられないという事情はわかるが、信用されていない気もしたのだ。

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