冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「なんで?」

「見つかってもいいのか?」

彼が顎をしゃくった先には、多野元の部屋がある。

少し休んでから帰るような話だったが、その少しがどれくらいかわからないので、ここにいては鉢合わせる恐れがあった。

大和が開けてくれたドアの内側にコソコソと入る。

絨毯敷きの短い廊下が伸びていて、奥の部屋のドアは開いていた。

照明が灯る部屋に見えたのは、ふたつ並んだベッドだ。

途端に動悸が始まる。

(ホテルの部屋でふたりきり……)

なにも起きないとわかっていても意識してしまい、自然体でいなければ変に思われると焦った。

奥へ進みながらあちこち覗き、緊張を解こうとして無駄に口数が増える。

「ふーん、いい部屋だね。シャワールームが広くてきれい。洗面台はおしゃれでアメニティグッズが充実してる。しばらく旅行に行ってないからなんか新鮮。わっ、この部屋すごい! 大きなベッドがふたつもある。西欧風で素敵。泊まってみたいなー」

(な、なに言ってるのよ。私にそんなこと言われたら、大和さんは嫌でしょ)

彼の方をチラッと見ると、ベッドの端に腰を下ろしていた。

(ほらね、女だと思ってないから平気でベッドに座ってる。私も普通にしないと)

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