冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
自分からしたことなのに、至近距離で見つめ合っているのが恥ずかしい。

近づきすぎたと焦ったが、目の下のクマに気づいてそっちの方が気になった。

「もしかして寝てないの?」

「まぁな。よくあることだ。心配いらない」

中学生の頃は徹夜続きの多忙な彼を、くだらない用事で度々呼び出した。

会いたかったからだが、今思うとワガママで申し訳ない。

大きな事件があれば徹夜での捜査も仕方なく、本当に慣れているのだと思うけれど、心配くらいさせてほしい。

「ベッドがあるんだし、今から寝なよ」

「いい。多野元が帰ったら、お前をホテルの外まで送る」

「じゃあ、それまで寝て。隣のドアが開く音がしたら起こすから」

「嘘つけ。葵なら勝手に帰ろうとするだろ。それでドアを開けたところで運悪く多野元と鉢合わせる。お前がやりそうなパターンだ。俺は二、三日寝なくても――」

「いいから!」

なんとしても寝かせたい気持ちでムキになり、大和の腕を両手で掴んで引っ張る。

しかしビクともせず、逆に手首を掴まれた。

「葵、ダメだ」

「どうして? 起こすって言ってるのに」

「そうじゃない。ふたりきりだからだ」

(えっ?)

強い口調で言った彼は、その直後にハッとしたように目を逸らした。

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