冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「静かにしてろ」

小声で指示した彼が壁際のインターホンまで行き、応答ボタンを押す。

「はい」

『多野元です。まだお部屋にいらしたんですね。先ほどはありがとうございました。声をおかけしてから帰ろうと思いまして』

「気をつけてお帰りください。あとからなにかお気づきになりましたら、警視庁の加賀見までご連絡ください」

『わかりました。それでは失礼します』

ふたりの会話を聞いているうちに、期待と勇気がしぼんでいく。

(もう言えない。告白なんて無理だよ)

すでに先ほどの発言を後悔し始めている。

大人の女性だとわかってくれたとしても、恋愛対象に入れるわけではない。

それなのに気のある素振りを見せれば、困らせて距離を置かれてしまうのではないかと怖くなった。

(だいたい同じベッドで寝られるってなによ。色々と飛び越えすぎて恥ずかしい。大和さん、どう思った?)

多野元との話を終えた彼が、こっちに戻って来たので火照る顔をうつむけた。

最大限に気まずさを味わっていて、ごまかしの言葉も思いつかない。

動揺してただ鼓動を高まらせていると、頭に大きな手がのった。

「たしかに大人になったな。男を勘違いさせるようなことまで言う。危ないから俺以外には言うなよ」

(勘違いで片づけられた)

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