冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
溜息がもれたのは不用なものばかりだったからではなく、多野元の件について考えていたためだ。

(また負けた)

生活費を稼ぐため、今日は朝からずっとアルバイトをしていた。

一時間ほど前に引っ越し屋の仕事を終え、携帯を開いた途端に大打撃を食らった。

多野元の収賄疑惑の記事が、相手企業の役員と並んだ写真付きでネットニュースにアップされていたからだ。

同じライターによる詳細記事をのせた週刊誌も今日の午前中に発売されていて、先ほどコンビニで購入した。

店内でザッと流し読みしたところ、葵がこれまで調べた情報とほぼ同じだったので、証拠写真さえ撮れていたならと余計に悔しくなった。

(三か月もかけたのに。後追い記事になるのはこれで何度目? 私ってライターに向いてないのかな)

恐らく数日中には警察も動き出し、多野元は逮捕されて辞職に追い込まれるだろう。

話題性があるので後追い記事でも買ってくれる先はあるけど、経費を上回る収入は見込めそうにない。

生活のためにアルバイトは必須だが、そんなことをしているから決定的瞬間を逃すのだとも思った。

(完全に負のループ)

肩を落として郵便受けを閉めると、大和に会いたくなった。

< 79 / 218 >

この作品をシェア

pagetop