冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
(ダメだしされても、口うるさくてもいい。顔を見るだけで、少しは元気になれるのに)
ホテルで会ったあと、彼からの電話やメッセージはない。
忙しいと思うので、葵からも連絡していない。
子供の頃のように、会いたいから電話するというワガママな行動は取れなかった。
階段へと爪先を向けると、一階の廊下の奥から足音が聞こえ、曲がり角から現れた顔見知りの住人と鉢合わせる。
「高野さん、こんばんは」
「こんばんは、縞森(しまもり)さん」
「今日は寒いですね」
三段のステップを下りてきた女性は縞森菜美恵(なみえ)。
葵の部屋の真下の105号室に住んでいて、引っ越しの日に挨拶に行ったのが初対面だ。
不動産屋には単身の若者で近隣住人に挨拶をする人の方が珍しいと言われたが、祖母の昔ながらの教えの賜物か、タオルを手土産に部屋を訪ねて頭を下げた。
それ以来、会えば当たり障りのない会話を少しする関係だ。
年齢は知らないが、たぶん葵と同じくらいだろう。
背は葵より十センチほど高く、ショートボブの黒髪で真面目そうな印象を受ける。
「そうですよね。外の風、すごく冷たかったです。これからお出かけですか? 今日は直斗(なおと)くんと一緒じゃないんですね」
ホテルで会ったあと、彼からの電話やメッセージはない。
忙しいと思うので、葵からも連絡していない。
子供の頃のように、会いたいから電話するというワガママな行動は取れなかった。
階段へと爪先を向けると、一階の廊下の奥から足音が聞こえ、曲がり角から現れた顔見知りの住人と鉢合わせる。
「高野さん、こんばんは」
「こんばんは、縞森(しまもり)さん」
「今日は寒いですね」
三段のステップを下りてきた女性は縞森菜美恵(なみえ)。
葵の部屋の真下の105号室に住んでいて、引っ越しの日に挨拶に行ったのが初対面だ。
不動産屋には単身の若者で近隣住人に挨拶をする人の方が珍しいと言われたが、祖母の昔ながらの教えの賜物か、タオルを手土産に部屋を訪ねて頭を下げた。
それ以来、会えば当たり障りのない会話を少しする関係だ。
年齢は知らないが、たぶん葵と同じくらいだろう。
背は葵より十センチほど高く、ショートボブの黒髪で真面目そうな印象を受ける。
「そうですよね。外の風、すごく冷たかったです。これからお出かけですか? 今日は直斗(なおと)くんと一緒じゃないんですね」