冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
「すみません。手に虫が止まっただけなんです」

「えっ、虫?」

「本当にすみませんでした」

大きく頭を下げてから二階まで階段を駆け上がり、自分の部屋に逃げ帰った。

玄関ドアを背にして呼吸を整える。

(好きな人との赤ちゃんを妄想していたなんて、恥ずかしくて説明できない。でも冬なのに、虫が止まったは無理があったかも)

スニーカーを脱いで部屋に上がり、天井照明をつけた。

シャッターを下ろした窓際に小型テレビとローテーブルを配置し、ソファベッドはキッチンとリビングスペースの間仕切りのように部屋の中央に置いている。

壁際に寄せた方が少しは広く感じられそうだが、クローゼットの扉を塞いでしまうのでできず、ワンルームの家具の置き場所は意外と難しい。

今の配置も確定とは言えないので、床が冷たくてもまだラグを買えずにいた。

カーテンもその時に買う予定でいて、大和がつけてくれたシャッターが夜間や留守の時に役立っている。

手を洗ったあとはリュックの中からコンビニのレジ袋を出す。

多野元の記事が載った週刊誌と、値引きシールの張られた弁当をテーブルに置いて座り、テレビをつけた。

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