冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
大人の女性だとわかってほしかっただけだが、ベッドに誘われたように聞こえたのかもしれない。

(戸惑わせたのかも。ううん、そんな軽いものじゃなく、嫌われた? どうしよう)

今さらながらに焦っていると、手の中で携帯が震え出し、驚いて落としそうになった。

大和からかと期待して画面を見たが、井坂からの電話で目を瞬かせた。

井坂とはこれまでに三度会ったことがある。

初対面は三年ほど前で、大和と寿司屋で食事し、外に出たところで鉢合わせた。

同期の刑事だと自己紹介してくれた彼に葵も父の名を出して挨拶すると、驚かれた。

どうやら大和は仲のいい同期にも葵との交流を隠していたようだ。

どうしてなのか問うと『特に理由はない』と言われたが、挨拶もそこそこにタクシーに押し込まれ、自宅まで送られたのだ。

二度目と三度目は、同じ寿司屋で三人で食事をした。

あとから合流した井坂を、呼んでいないと言って大和が追い返そうとしていたが、葵がぜひにと同席をお願いした。

『加賀見の面白い話、聞きたくない?』と言われたからだ。

連絡先は三度目に会った日に、井坂に求められて交換した。大和に仕事の電話がかかってきて席を外した時にこっそりと。

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