冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
大切にされている自覚はあるが、友人の冗談を聞き流せないほどなのかと喜んだ。

兄心ではなく恋心からの嫉妬なら、もっと嬉しかっただろう。

軽蔑の気持ちを撤回したところで、井坂の真面目な声を聞く。

『本当は君に謝りたくて電話したんだ。ごめんね。加賀見がいつまでも君の気持ちに気づこうとしないから、じれったくなってちょっと煽ってみたんだけど――』

半月ほど前に庁舎の休憩所で、大和とふたりで話したそうだ。

葵の引っ越し先のセキュリティを上げたら、新居から追い出されたという話を聞いて、こうアドバイスしたという。

『葵ちゃんはお前の過干渉が嫌なんだろ。もう離れてあげたら?』

(私の気持ちを知っていてそんなこと言ったの?)

大和から連絡がない原因が、まさかそれだとは少しも思わなかった。

「困ります。私が告白できないのは、距離を置かれる気がして怖いからなんです」

文句を言うと、少しも悪びれた雰囲気のない声で謝られる。

『だから、ごめん。加賀見は考え込んでたな。俺の言葉が胸に刺さったのかも。葵ちゃんには悪かったと思うけど、こうなった以上は前に進むしかないんじゃない?』

「前?」

『加賀見に離れてほしくないなら、葵ちゃんからアクションを起こすしかないって言ってるんだよ』

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