冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
なにをしているのか見当もつかなかったが、その夜は泣き声と不明な音を聞きながら大和を恋しく思い、一睡もできずに朝を迎えた。


* * *


葵が井坂から連絡をもらった頃、大和は爆発事件に関連したテロ対策室で部下から報告を受けていた。

「加賀見参事官の推測通りでした。ただし、久地(くじ)がサバイバルゲームの社会人サークルに所属していたのは大学二年生の時から五年間だけで、今はやめています」

久地は火薬類取締法違反で逮捕された二十九歳の男性だ。

グループでテロを計画していたのではないかと疑って連日取り調べているが、自作花火を爆発させたという供述を変えようとしない。

だからと言って手をこまねいているわけではなく、着々と捜査は進んでいる。

火災と消火活動の影響で使いものにならなかった久地のパソコンと携帯は、専門機関に依頼して内部のデータを一部、復活させることに成功した。

それを解析した結果、大和が睨んだ通りテロ計画の証拠が出た。

来夏に首相を含めた国政の要人六人を同時に襲撃するという内容で、現体制を破壊し、軍部主導の強国作りたいという危険な思想が読み取れた。

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