春待つ彼のシュガーアプローチ
「もしかして、緊急の困り事?」
「えっ」
「それで今日中に私に聞こうと思って学校からダッシュして来た…とか?」
私の言葉が意外だったのか、的中していたのか。
氷乃瀬くんは、きょとんとした表情を浮かべる。
「いや、別にそういうわけじゃないんだけど……」
かと思えば、苦笑しながら気まずそうに視線を逸らしてしまって。
今のは…どんな感情から出た反応?
よく分からず首を傾げていた時、氷乃瀬くんは向かいの車両ドア横にある広告をジッと見つめ始めた。
「あの風景、前にテレビの中継で見たことある。確か……公園だっけ?」
「うん。広い敷地内にはアスレチックもあるし、綺麗な庭園や大きな噴水、散歩道も自然いっぱいだから癒されるし、ゆったりとした時間を過ごせるよ」
「前から行ってみたいと思ってたんだ。俺の近所には小さな公園しかなかったから」
氷乃瀬くんが興味を示している…。
私はスクバにしまってあったスマホをチラッと見て時間を確認した。
今日はスーパーに買い出しに行かなくても食材は冷蔵庫に色々と入っているから、帰宅は夕方でも大丈夫。
それなら……