春待つ彼のシュガーアプローチ
「このあと、一緒に行ってみる?」


「えっ」


「駅前からバスで15分弱だから、私で良ければ案内するよ?でも、氷乃瀬くんの都合もあると思うから無理には……」


「行く。行きたい!」


私の言葉が終わらないうちに、少し前のめりで答えた氷乃瀬くん。


その声は語尾に音符がつきそうなぐらい弾んでいた。


「あっ、でも昼メシはどうする?」


「公園の中にカフェやテイクアウトのお店があるから、そこで買うのはどうかな」


「賛成。それじゃあ案内よろしく」


「うん、任せて」


私は自分の胸に手を当てて大きく頷いた。


氷乃瀬くんに満足して貰えるように案内を頑張ろう。


その後、駅に到着した私たちはバスに乗って公園へ。


中に入ると、氷乃瀬くんは案内板に駆け寄って興味深そうに眺めだした。


「へぇ…マジで広いな」
 
 
「色んなスポットがあるから、一日ここで過ごしても飽きないと思うよ」


「確かに」


「氷乃瀬くん、この中で気になる場所とかある?」


「うーん、そうだな…。静かで落ち着けるようなエリアがあれば、そこに行ってみたい」


となると、人が少ない場所が良いよね。


「了解。行こっか」


私たちは自然豊かな公園内をゆっくり歩き始めた。


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