春待つ彼のシュガーアプローチ

途中、テイクアウトのお店に寄ってお昼ごはんを購入しつつ、やって来たのは公園の奥。


大きな池と、その周囲を散策できる遊歩道のエリアだ。


「めちゃくちゃ静かじゃん」


「ここって公園の入口から一番遠い場所でね、辿り着くまでの道が少し分かりにくいこともあって、休日でもあまり人がいない穴場なんだよ」


今日は平日だからか、数人程度しかいない。


そのせいかな。


鳥のさえずりや風にそよぐ草木の音が、前に来た時よりも鮮明に聞こえる。


私は池の周りを囲む丸太の柵に手を置くと、目を閉じて大きく深呼吸をした。


「良い場所だな」


「気に入って貰えたなら良かった」


「ここまで歩いて来たらお腹空いた。そろそろ昼メシ食べない?」


「そうだね」


私たちは近くのベンチに腰掛ける。


手提げの紙袋を二人の間に置いて、中からベーグルサンドと飲み物を取り出した。


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