春待つ彼のシュガーアプローチ

この本はここで、これは…向こうの書架。


順調に作業を進めていき、残り数冊になった時だった。


「あっ、禁帯出本……」


戻そうとしていた本の直ぐ近くに貸出禁止の本が入っているのを発見したのだ。


禁帯出本は図書館の奥に部屋があって、そこに全てまとめられている。


おそらく閲覧した利用者が間違った場所に返却をしてしまったのだろう。


これも元の場所に戻さないと。


ブックトラックの本の戻し作業を済ませた後、誤返却の本を抱えて図書館の奥へと向かった。


「あれ?」


開館時間中は誰でも出入り出来るように部屋の扉は開けっ放しの状態にしてあるはずなんだけど……閉まってる。


ドアストッパーもしてあるから、間違えて閉めちゃう人は殆どいないんだけどな。


少し不思議に思いながら扉を開けた私は、ドアストッパーをかけ直した。


教室1クラス分ほどの部屋には、貴重な本や古い本などが書架にたくさん納められている。


このラベル番号だと、そっちかな。


通路を挟んだ隣の書架に行こうとした時。


「わっ…!」


何かに躓いた私。


バランスを崩して危うく転びそうになったものの、なんとか持ちこたえた。


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