春待つ彼のシュガーアプローチ
び、ビックリした…。
本の戻し場所を探すのに集中して書架にばかり視線を向けていたから足元を全然見ていなかった…。
床に何か落ちていたのかな。
振り向いた私は反射的に肩を大きく揺らしてしまった。
書架の横に設置されているキューブソファー。
そこに黒いリュックを抱きかかえながら足を開いて居眠りしている男子生徒がいたからだ。
この人の足に躓いたのか。
「誰…?」
呟きながら熟睡中の生徒に近付いた。
赤ラインの上履きだから私と同学年か。
ゆるくウェーブのかかった、ミルクティーのような色をした髪。
眠っていても分かる端正な顔立ちだ。
睫毛長いな、この人。
関心しながら眺めていた私はハッとして首を左右に振った。
いやいや、そんなことしてる場合じゃない。
私は彼の肩に手をのせると、軽く前後にゆすった。
「あの、すみません…」
小声で起こそうと試みたものの特に反応なし。
もう少しゆする力を強くして声のボリュームも上げると、男子生徒の瞼がピクリと動く。
ゆっくりと目が開き、視界に私を捉えた彼は顔を強張らせたものの、すぐにホッとしたようなため息をこぼした。