春待つ彼のシュガーアプローチ
「なんだ、焦った……」


どういう意味?


頭に疑問符を並べていると男子生徒は不機嫌そうな顔で私を見上げた。


「俺に何か用?」


「随分ぐっすり眠っていたみたいですけど、体調でも悪いんですか?」


わざとらしく丁寧に尋ねる。


顔色は良さそうに見えるから、おそらく体調不良ではないだろう。


「しばらく身を隠す場所を探してたら、ここがちょうど良かっただけ。座ってるうちにウトウトしてきて、いつの間にか寝てた」


校内でかくれんぼでもしてたわけ?


大きな欠伸をする彼を鋭く睨んだ。


「私は図書委員の者です。図書館は本を読んだり調べものをしたり、勉強をする場所です。隠れたり、居眠りするための場所ではありませんので利用目的がないのであれば退出をお願いします。眠いのであれば、家に帰ってゆっくり休んで下さい」


「………はーい」


よく分からない沈黙の後、男子生徒は面倒くさそうに返事をするとグレーのマフラーを首に巻いて帰り支度を始めた。


反論やら文句やら何かしら言われるかと思ったけど意外とあっさりしてたな。


私は拍子抜けしながら彼の側を離れた。


さてと、そろそろ中断していた作業を再開させなくちゃ。


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