春待つ彼のシュガーアプローチ
「俺、勘違いしてたんだな。ごめん」


「違うよ、元はと言えば私が紛らわしい言動をとったのが悪いわけだし」


「陽咲は普段どおりのことをしていただけだから別に非はないだろ。それにしても、こんな偶然ってあるんだな」


「私の住んでいる街に氷乃瀬くんが引っ越してきて、しかも利用する駅まで同じだなんてビックリだよ」


氷乃瀬くんは口元を緩めると、気恥ずかしそうな様子で首の後ろに手をあてた。


「かなり嬉しい」


それって、引っ越し先に知り合いが居て安心した的な意味合いかな。


環境の変化で何かと気疲れすることも多いだろうから、余計にホッとする気持ちが強いのかも。


「氷乃瀬くん、もし何か困ったことがあったら遠慮なく頼ってね」


「えっ」


「例えば、食料品を購入するならどこのスーパーがオススメなのか…とか。それから勉強に集中できる静かな場所を教えて欲しいとか、他にも…」


その先を話そうとしたところで氷乃瀬くんからフッと笑う声が聞こえてきた。


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