春待つ彼のシュガーアプローチ
「チョイスが独特」


「そう?」


「でも、ありがと。そんな風に言ってもらえると心強い」


氷乃瀬くんが少しでも早く新しい生活環境に慣れることが出来るように、力になれたらいいな。


今度は私が役に立ちたい。


そんな決意を胸に抱きながら移り行く景色を眺める。


学校の最寄り駅に到着すると、私は別々に登校することを提案した。


氷乃瀬くんは、そんなことする必要ないのでは?と言わんばかりの不満げな表情をしたけれど、お願いをして先に向かってもらった。


私たちはただの同級生同士だし、もちろん恋愛感情だって無い。


でも、並んで歩くのはやはり抵抗がある。


氷乃瀬くんのことを好きな女の子たちが不快な気持ちになるような行動は避けなければ。


私は駅で少し時間を潰してから学校へ。


昇降口付近に置かれた掲示板の前には、たくさんの生徒が群がっていた。


クラス替え、私は何組になったんだろう。


掲示板の傍に行こうとした時、正面から萌絵ちゃんが手を振りながら駆け寄って来た。


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