春待つ彼のシュガーアプローチ
「俺の隣、女の子だ~!」
スキップ交じりで隣の席にやって来たのは、栗色の髪の男の子。
私を見ると太陽のように明るく笑った。
「初めまして!俺、鷲峯 賢哉って言います」
「陽咲 栞です。よろしくお願いします」
「よろしくね~。ハルちゃんは1年の時は何組だったの?」
「え、えっと…2組です」
「俺は4組。クラス離れてると接点ってなかなか無いよね。せっかくお隣になったし、仲良くしようね」
陽咲だから“ハルちゃん”か。
そんな呼び方されるの初めてだから、あまりにも新鮮すぎて、一瞬…誰のことかと思った。
「おい、賢哉。初対面のくせして馴れ馴れしいにも程があるだろ。陽咲が困惑してんじゃん」
「マジ!?俺、誰とでもこんな感じで喋ってるから、いつもの調子でつい…。なんかごめんね」
「困惑というか、ビックリしただけ。私、男の子から気さくに話しかけられることって殆ど無かったから」
こういうフレンドリーな雰囲気で声を掛けて貰ったのは、笹森先輩以来かも。
フレンドリーとは言っても少しベクトルは違うけど。