春待つ彼のシュガーアプローチ
桜雨の告白
その後、始業式やHRも順調に終わり、下校時間を迎えた。
「なんか氷乃瀬くん推し増えた気がする。特にガチ勢というか積極的な子たちが!」
「そ、そうなんだ…」
彼の席の周りには、あっという間にファンの女の子たちが何人も集まってきていて。
予想どおり溜まり場と化していた。
彼女たちの邪魔をしないようにと私は萌絵ちゃんのところに即座に避難。
離れたところから様子を眺めていた。
朝、暫くして教室に戻ってきた時は少し元気が無いように見えたものの、今は普段と変わらない気がする。
女の子たちの存在を無視してスマホをいじっている氷乃瀬くんは無表情だから、何を考えてるのか分からないけれど。
「休み時間とか昼休みとか、あの席に居づらかったら私の席においでよ!もし私がいない時は遠慮なく座ってもらっていいからね」
「ありがとう」
萌絵ちゃんが女神のように見える。
気遣ってくれる優しさに心が温かくなった。