春待つ彼のシュガーアプローチ
「初めまして。いつも萌絵がお世話になってます」


「なにその挨拶の仕方~」


「だって陽咲さんは萌絵の大事な友達だろ?きちんと丁寧なご挨拶を……」


「それにしたって、私の親じゃないんだから」


やり取りをが微笑ましいな。
雰囲気から仲良しなのが凄く伝わってくる。


せっかくだから、二人で楽しいランチタイムを過ごして欲しい…。


「あっ!私、家の用事があるのをスッカリ忘れてたから帰らなくちゃ。誘ってくれたのに本当にごめんね…」


「そ、そっか。じゃあ、また次の機会に行こうね」


少し気まずそうな表情の萌絵ちゃんと別れて、私は足早に歩きだした。


咄嗟の嘘と演技は下手すぎて、萌絵ちゃんにもバレバレだったに違いない。


もっと自然な感じで相手を気遣うことが出来たらいいのにな…。


上手くいかないもどかしさを感じながら、駅に到着した私。


暫くしてホームに入ってきた電車に乗り込んだ。


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