熱情を秘めた心臓外科医は引き裂かれた許嫁を激愛で取り戻す
 ハルに会えたことが嬉しくて自分のことばかり喋りすぎていた。理人の気持ちを考えてあげられていなかった。
「ごめんなさい。私……誤解させるようなことをしてしまったのね。理人さんを怒らせてしまった? 悲しませてしまった……?」
 でも、理人はあくまで架純のことを契約妻としか思っていないのに?
 反省と後悔と疑問と期待と、一気に膨らんだ感情が絡み合って混乱している。
「どうだと思う?」
 理人からの問い返しに架純は言葉を詰まらせた。返答に窮しているうちに、理人が架純の腰を自分の方にぐっと引き寄せた。
「そのどちらでもないよ、架純」
 言うが早いか、噛みつくように唇を奪われて、架純は衝撃のあまりに目を見開く。しかしその間にも理人は唇を離そうとせずに、そこからさらに深く啄んできた。
「んっ……んっ!」
 反射的に仰け反ると、よろめきそうになった架純の腕を引き寄せ、理人は架純を抱き上げてしまう。
「きゃっ」
「わからないなら、直接、わかってもらうしかないな」
「まっ待って……理人さんっ」
 制止するものの理人は止まらない。
 理人が架純を連れていった場所は寝室だった。
 ベッドの上におろされて身じろぐまもなく理人が架純を強引に組み敷く。
 先ほどシャワーを浴びたばかりの彼の肌のあたたかさ重みを直に感じて、架純の身体は強張った。
「理人さ、っ……」
「だめだ、俺には……君が足りない」
 理人の顔が近づいてそのまままた唇が塞がれてしまう。
「んっ……!」
 息をつくまもないまま何度も何度も唇を啄まれるにつれ、呼吸が荒々しく乱れてしまう。思考がままならないまま流されていってしまうのが怖くて、架純は理人の腕の中でもがいた。
「待っ……」
 理人の熱い手が架純の肌をまさぐる。びくんと架純は大きく戦慄いた。しかし理人の手は架純の温もりを求めて彷徨う。
 こんな性急に求められることに驚き、どう抗っていいかもわからない。
 やがて心臓のあたりに触れそうになったとき、架純が声を漏らすと、理人はやっと我に返ったらしい。その動きを止めた。
「……はぁ」
 と、理人がため息をこぼす。そして架純の耳の側で悪かった、と呟く。
「理人さん……?」
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