極道に過ぎた、LOVE STORY
 今まで、こんな風に誰かと意見を交わした事なんて無かった。カバンの中のスマホが震えた音に、羽柴が心配している事に気付いた。

 「ごめん。もう、行かなきゃ」

 「そうか。またな」

 「そうね。気が向いたら」

 そい言うと、机の上に散らばった資料をまとめてカバンに入れた。


 きっと誰かが、轟川の娘であることを康に話すだろう。次の講義は、私の隣には座らない事は予測できる。もしかしたら困って抗議を休むかもしれない。また、単位を落としてしまうかもだ。

 何だか悪い事してしまった気がした。そして、大学に入って、誰かの名前を覚えたのも初めてだ、と言うより、中学も高校もクラスメートの名前など覚える必要もないと思っていた。

 おかげで、レポートは出来たから良かった。車まで走って向かった。

 「お嬢、遅かったですね。何かありましたか?」

 羽柴が心配してるのが分かる。

 「ごめん。レポートの課題に時間がかかてしまって。まさか、こんなに時間が経ってなんて気付かなくて」

 「勉学、ご苦労様です」

 助手席に座る若い男が、頭を下げた。

 「新しい人」

 「今まで、店の方にいたのですが、なかなか腕もいいし、気が利くので、私の側にと三代目からの支持です」

 羽柴が、ざっくりと説明した。見込まれた者は、羽柴の元の置かれる事がよくあるので、それほど気になる事でもない。ただ、見たことのあるような綺麗な整った顔だと思った。最近よく見る、アイドルの顔にでも似ているのだろうか?


 「片山智樹(かたやまともき)と申します。トモと、お呼び下さい」

 「分かった」

 車は速やかに、大学の駐車場を抜け大通りへと出た。
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