極道に過ぎた、LOVE STORY
 次の日、調べたい事もあり、講義の時間より早く大学に送ってもらった。

 「お嬢、近くにいますので、何かあればいつでもお呼び下さい」

 トモが、車の後部座席のドアを開けて言った。

 「絶対に、構内には入らないで」

 私は、トモの顔をキッと睨んで言った。

 「はい。承知しております」


 大学の門を抜けて、図書館へと向かおうと思った時だ。

 「ねえ」

 そんな声がしたが、私を呼ぶ声でないことは確かだ。そのまま、歩き続けた。


 「ねえ」

 その声が、耳の後ろになった。

 まさかと思って振り向くと、そこには康が立っていた。

 「何?」

 自然と、眉間に皺がよってしまった。

 「どこいくの?」

 「図書館だけど」

 「分かった。ちょっとだけ、ここで待ってて」

 「嫌よ!」

 そう言ったのに康は行ってしまった。

 待つべきなのか? 今まで経験した事のない状況に、正しい判断が付かない。


 ここでと言われたが、こんな通路の真ん中で待つわけにもいかず、少し離れたベンチに座り、タブレットを開いた。ここにいる事に気付かなければ、それはそれで仕方ないだろう。


 しばらくすると、目の前に大きな影が出来た。

 「お待たせ。これ」

 「えっ?」

 目の前に、白い渦を巻いたソフトクリームが差し出された。

 「クリーニング代の代わりね」

 どうしたものかと、ソフトクリームを見つめる。


 「早くもって、溶けちゃうから」

 「ああ……」

 仕方なくソフトクリームを受け取った。康は自分のソフトクリームをペロリと舐めた。

 私も、溶けかけたソフトクリームが目に入り、慌てて舐めた。


 「どうして、ソフトクリームなの? 私が食べたくなかったらどうするつもり?」

 「ソフト食べたくない時なんてある?」

 「あるでしょ?」


 正直、ソフトクリームを食べた事なんてあまりない。外で、食べる事自体が少ないのだ。時々、パパと外食するが、高級そうな店の個室ばかりだ。

 ソフトクリームか……

 パパとママと一度だけ食べた事があった事をふと思い出した。


 「でも、うまいだろ?」

 「まあ」

 「図書館行くんだろ? 俺も行くところだったんだ。食べ終わったら一緒に行こう」

 私は、何も言わずにソフトクリームを食べ続けた。


 「ごちそうさま。美味しかった。でも、一緒には行かない」

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