極道に過ぎた、LOVE STORY
 「四月からはいよいよインターンか。月岡総合病院は厳しそうだな」

 「うん。でも、やりがいはありそう。腕のいいドクターも大勢いいるし、大きいだけじゃなくて、治療する事に患者さんと向き合う姿勢が真っ直ぐな病院だ。それは、形は違うけど、花岸病院も同じだと思う」

 「そうだな。そうでなきゃ、俺も花岸医院では働いていないよ」

 いまだに謎めいた男だが、きっと自分のやりたい事にまっすぐなのであろう康の姿へ目を向ける。

 「私、本当に医者になれるんだろうか?」

 正直不安だ。世の中、そんなに甘くはない。

 「何言ってんだ、もう医者だろ」

 「そうだけど、組がこんな状態で、世間体は益々悪くなる。私に見てもらいたい患者さんなんていなくなるかもしれない」

 「まあ、世間はそんなもんかもしれないな」

 「全く、他人事だと思って」

 上品に盛り付けられた、揚げ物の盛り合わせを口にする。サクサクしていいて美味しい。


 「確かに、悪いイメージは簡単に抜けないかもしれない。だけど、腕がいいとかきちんと治療してくれるとか、信頼されれば世間の目は変わっていくものだろ。幸がどんな医者になるかだよ。なんでも必死にやってみてからじゃないのか?」

 「うん。必死にやってみてか……」

 確かに、やってみなければどんな問題が生じるかなんて分からない。どんな時も、患者さんの治療に真っ直ぐ向き合える医者になりたい。それには、人よりも本気の覚悟が必要なのだ。


 「この揚げ物美味いだろ?」

 「凄く美味しい。こういうお店は始めて来た」

 「そうなのか? 俺は幸と一緒なら、どこでも行きたいけどな」

 「何を言っているんだか」

 呆れた顔を見せるが、正直胸の鼓動がおさまらない。できることなたら、また、康と食事に来れたらと思ってしまう。


 すると、テーブルの上のスマホが震えた。画面には羽柴の名がある。食事中に電話してくるなど、よっぽどの急用としか考えられない。


< 49 / 84 >

この作品をシェア

pagetop