極道に過ぎた、LOVE STORY
 「轟川のお嬢さんだね。悪いが一緒に来てもらうよ」

 ガタイのいい男が近づいてくる。その男と両側の男の手が伸びてきたと同時に、パイプで腕を殴ると、別の男の腹に蹴り入れる。

 「これはこれは、お転婆なようで。痛い思いしたくなければ、大人しくしたほうがいいよ」

 別の男が、じっくりと近づいてくる。私の持つパイプ奪い取ろうとしたが、手が伸びる前に、足をパイプで殴った。


 「くそっ!」

 周りにいた男の声と同時に、康の足が伸びた。男が後ろに飛びビルの壁に崩れる。同時に、康の持つパイプがかかってきた男の背中を一撃。

 「やっぱり、あんた喧嘩やった事あるよな?」

 背中合わせの康に向かって言った。


 「ああ。これで二回目」

 康が言ったと同時に、男の手にナイフが光る。全く、面倒臭い。

 ナイフを下手くそに振り回す男の手を、パイプで殴ればナイフは軽く吹っ飛んだ。その間に、康が残りの男の動きを交わし、蹴りを喰らわした。


 「行くぞ、幸!」

 「うん」

 幸と並んで走る。こんな状況でも、一緒に走ってくれるいる人がいることが心強かった。


 でも、大通りには別の男達が、探している姿がある。そのまま、空きビルの中に入った。

 柱の影で息を吐く。


 スマホを手に、羽柴の名をスライドした。

 「お嬢、ご無事ですか」

 「どういう事だ?」

 「とにかくお嬢、逃げて下さい。奴らはお嬢の命と引き換えに、三代目との取引をしようと企んでいます。今、どこですか?」

 「一丁目の空きビルだ」

 「そこは危険です。海岸通りに向かって下さい」

 「分かった」


 辺りを見張っていた康が、通話を切った私の方へ向きを変えた。

 「捕まるわけにはいない。ここも危険だ」

 走り出すため、足に力を入れた。

 すると、康の暖かい手がスッと頬に触れた。
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